博士課程一問一答(tonetsの場合)

以下,国立情報系で博士を取ったポスドクについて.
http://anond.hatelabo.jp/20141201200815 から一部拝借,補足的な感じで.


Q1. 博士課程ってなんですか
A1. 博士後期課程の略。学部4年、修士課程2年過ごしたあとに、さらに3年間(医薬系は4年間)大学に在籍して研究を行う。


Q2. なんで博士課程に進学したんですか
A2. 修士の後にふつうの企業で働くというイメージが湧かなかったから,と,研究を続けたかったから.
高校(高専)時代から漠然とD進する意思はあったしその時から親の理解もあった(ここ重要).


Q3. 博士取ったあとは?
A3. 無職(仮)です.(あとで詳細を)


Q4. 在学時の金銭問題に関して一言
A4. 博士課程で重要なのは,言うまでもなく「衣食住(生活費)」と「学費」です.一部の裕福な人以外は多分みんなカツカツだと思います.
学費は大学の授業料免除制度を積極的に活用しましょう.ない場合は諦めましょう.(TRA系のサポートがある大学も多いです.)
生活費は僕の場合は学振DC1です.D1〜D3の3年間,月20万円もらっていました(給与扱いです).
最近はリーディング大学院の奨励金(給与扱い)や,ラボの研究費でRAとか,いろいろ工面する手段があります.なかったらバイトですね.


Q5. 学振とは?
A5. 日本学術振興会特別研究員.学生向けにDC1,DC2の2つ,ポスドク向けにPD, SPD, RPD, 海外学振の4つがある.
DC1はM2(医薬系はD1でも可)で申請,通ればD1から3年間20万円+研究費が貰える制度.
DC2はD1, D2の時に申請して,通れば翌年から2年間20万円+研究費が貰える制度.
PDはD3の時に申請して,通れば翌年から3年間36.2万円+研究費が貰える制度.SPD/RPD/海外学振は割愛します.
詳しくは,こちらのスライドを.[学振]でググると割と上位に出てきます. http://www.slideshare.net/tonets/10tips-32604093
僕の場合は,M2のときにDC1を申請して,面接を経て採用.D3のときにPDを申請して面接免除で採用,でした.
学振を貰っていると大学の授業料免除ができないという噂もあるので,簡単なアンケート調査もやったことがあります. http://goo.gl/GZVzmv
このあたりは口コミ情報でしか得られない話なので,行きたい大学・部局の先輩によく聞きましょう.


Q6. 博士課程はどんな感じでしたか?
A6. 気ままに研究してたと思います.今とあんまり変わりません.
自分の分野がいわゆる学際領域だったので,関連する分野のいろんな学会に足を伸ばしました.
国内だと,日本バイオインフォマティクス学会,日本蛋白質科学会,情報処理学会,生物物理学会を中心に,情報計算化学生物学会,ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム,NVIDIA GTC Japanなど,国外だとISMB, InCoB, APBC, ACM-BCB, PRIB, GIW, GLBIOなどです.とにかく生物分野の知識が圧倒的に無かったので,国内の若手の会と呼ばれる学生・若手研究者の集まりにもたくさん参加して時に主催側になったりしながら勉強しました(生命情報科学若手の会,生物物理若手の会,生化学若い研究者の会,タンパク質構造理論勉強会,W8F5seminar).特に若手の会での人との繋がりは研究を進める上でも重要な役割を果たしていたと思います.


Q7. で,今はなにしてるの?
A7. 上の学振でPDとして採用されていわゆるポスドク(研究員)をやっています.
なぜ無職(仮)と書いたかというと,雇用契約が無いからです.大学からも学振からも雇われていません.
例えば大学職員・学生が安く買えるソフトウェアとか買えません.うちの大学のスパコンに入ってる商用ソフトウェアも使えません.
年金も1階だけです.健保も自分で払います.大学での健康診断とかももちろん受けられません(この辺は機関によるかな).
不動産を買いたくてもローンなんて絶対組めません.
それでも良ければ学振PDをおすすめします.何より自由が手に入ります.


Q8. 楽しいこと3つ
A8.
(1) 自分の時間を好きに使える.時間に縛られない.
(2) 好きな研究ができる.
(3) 世界を変えられる.


Q9. つらいこと3つ
A9.
(1) 世界を変えられない(変えるほどの研究成果が生まれない)
(2) 英語が酷い
(3) 「大学に残ってるの?教授?」


Q10. 現時点で後悔していること
A10.
(1) 学生時代に留学しなかったこと
(2) 学生時代に雀荘のメンバー(アルバイト)をしなかったこと
(3) 学生時代に麻雀をやめなかったこと


Q11. やってよかったこと
(1) ダメ元でチャレンジしたこと.博士の終わり頃に取った育志賞もダメ元でした.
(2) たくさん発表したこと.発表機会を与えてくれたボスにも感謝です.
(3) 結婚


以上です.聞きたいことがあればまた書きます.