学振特別研究員と科研費の関係(学振PDと科研費「研究活動スタート支援」の関係)

学振特別研究員(DC1, DC2, PD, RPDなど)は、日本学術振興会 科研費(特別研究員奨励費)がもらえます。

加えて、学振PDは科研費文部科学省日本学術振興会 科学研究費助成事業)全般の応募資格を得ることができるため、その他の種目の科研費への応募が可能となっています。 *1

学振PDが研究代表者として申請できる科研費の種目は、

  • 新学術領域研究(研究領域提案型)の公募研究
  • 基盤研究(B)
  • 基盤研究(C)
  • 挑戦的研究(萌芽)
  • 若手研究

の5種目です(令和2年度現在*2)。

ただし、科研費の応募資格は受入研究機関が付与するもので、学振PDになったからといって自動的にはついてきません。上記種目へ応募したい場合は、科研費の応募資格を取得する必要があります。

また、科研費の中には、新しく科研費の応募資格を得た新任の研究員や教員などが応募できる「研究活動スタート支援」という種目もあります。「研究活動スタート支援」は学振PDは応募ができません。11月締切の科研費応募以降に新たに研究者となった人(=応募資格を得た人)が応募できる5月締切の種目です。学振PDも新たに研究者となった人に違いないのですが、学振PDは「研究活動スタート支援」に応募することができないと決まっています。

このことがあり、科研費「研究活動スタート支援」と学振PDは関係がやや複雑です。

学振PDが科研費の応募資格を得るかどうかは本人の判断によります。つまり、学振PDの間に科研費の応募資格をあえて取得せずに、学振PD後で科研費の応募資格を得ることで研究活動スタート支援に応募できる可能性があります。シナリオとしては以下の2通りが考えられます。

  1. 学振PDの間に、科研費「若手研究」等に応募したり研究分担者として他の人の科研費等に参画しようと思って、科研費の応募資格を得る。その場合、学振PD後に助教などになっても研究活動スタート支援には応募できない。
  2. 学振PDの間に、科研費の応募資格を得ていなかった場合、その後の身分で11月上旬~5月上旬の期間で科研費の応募資格を新規に得れば、研究活動スタート支援に応募できる。

ちょっと罠っぽいですが、学振PDに内定したら考えておきましょう。


根拠資料
  • 研究活動スタート支援 公募要領・計画調書 | 科学研究費助成事業|日本学術振興会 https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/22_startup_support/download.html
    • 対象者:文部科学省及び日本学術振興会が9月に公募を行った研究種目の応募締切日(令和2年は11月7日)の翌日以降に科学研究費助成事業の応募資格を得たため、当該研究種目に応募できなかった者
    • 日本学術振興会特別研究員(SPD・PD・RPD・CPD)は「研究活動スタート支援」に応募することはできません。
    • 日本学術振興会特別研究員又は外国人特別研究員である「科研費(特別研究員奨励費)」の研究代表者が、「研究活動スタート支援」の応募資格を有した場合(例えば、助教等に採用され、特別研究員又は外国人特別研究員の資格を喪失した場合)、本研究種目への応募は可能ですが、採択された場合には、交付内定通知受領後直ちに特別研究員奨励費の研究課題を廃止しなければなりません。

*1:学振DCも競争的研究費の受給は可能ですが、科研費(のほとんどの種目)には応募できません。

*2:令和3年度は、新学術領域研究に変わって始まった「学術変革領域研究」の公募研究も増えます。